Have a Question?

1. まず知っておきましょう

ここでは、システムやインターネットに精通した方ではなく、仕事でIT技術を使ったサービスを管理、運営したり、普段PCやSNS、メールなどを使っているごく普通の会社員や自営業の方々を対象にしています。ITリテラシーの高い専門家の方はぜひ、具体的な事例からご覧ください。

サーバーとPCの違い

ウェブページの表示やクラウドファイルやアプリケーションの共有、SNSの提供、メールの受配信など、不特定多数の人や会社、グループなど特定複数の人が様々な目的でその機能を利用するサーバーに対し、オフィスや家庭で皆さんが使用しているのはパーソナルコンピューター、すなわちパソコンやPCと呼ばれるものです。最近では、タブレットやスマホもほぼ同じものとみてよいでしょう。

実は、ハード的に見れば、PCもサーバーもそれほど大きく変わりません。もちろん、365日24時間停止することなく動かす、あるいは何万人、場合によっては何億人という人にグローバルに機能を提供するためには、特別な装置や高スペックのハードが必要になりますが、セキュリティーや信頼性をあまり考えなければ、お使いのPCでも簡単にサーバーとして使用できます。実際、負荷の小さいガラケーのサービスでは、数千万人のユーザーが利用していたにもかかわらず、しばらくは社内で余っていた数台のPCを流用してサーバーとして使用していた企業もありました。

ハードだけではありません。
OSもサーバーエディションではありますが、皆さんがお使いのWindowsなどが使われている場合もあります。サーバーで広く使われているLinuxというプラットフォームも、多くのデスクトップ版、PCで使う用途のGUI(グラフィカルユーザーインターフェイス)が実装されたものも多くあります。WindowsやMacに比べればユーザーは少ないですが、PCにLinuxを搭載し、ブラウザなども皆さんが使用しているものが使われていたりします。

違いは先にも少し述べましたが、目的と、それに伴う優先することの違いなのです。その目的や優先事項によってハードやソフトがそれぞれ、カスタマイズや強化・増強、逆に省略が行われていると考えてください。

PCなら、まずより多くの人に汎用的に提供すべき利便性、頻繁に起動終了しますのでそのスピード、ユーザーインターフェイスの使いやすさ、分かりやすさ、そしてクレジットカード情報や様々な履歴などプライベートな情報が保存されているので、セキュリティー、個人だけでなく企業でも大量に導入されるため端末やソフトのコストも重要です。また、限られたスペースで時に持ち運びながら快適に作業するため、大きさや形、軽さや入力装置の使いやすさなども重要です。そういった意味でPCの一部の役割がタブレットやスマートフォンに置き換えられているのも納得がいくでしょう。

ではサーバーはどうでしょう。
サーバーはほとんどの場合、一度起動するとメインテナンスなどがない限り、稼働し続けて止まらないことが重要です。よってより安定性が求められます。記憶装置もRAIDと呼ばれる仕組みで故障に備えたり、電源などもUPSと呼ばれる無停電電源装置を使用する場合が多いです。また、不特定多数、あるいはグループでも集中的に多くの人が利用(アクセス)するケースが想定されるため、ハードやソフトウエアの負荷を考慮する必要があります。PCでもグラフィックなどの重い処理で負荷が問題になりますが、多くの人が利用するサーバーではより深刻な問題となるので、多くのハードを組み合わせてより負荷を、そして前述のサービス中断のリスクを分散させてきました。
その後、運用の人的な負荷も含めて、より簡単に負荷を軽減でき、コストの面でも柔軟にシステムのスケールを変えることができるクラウド、最近ではコンテナという概念でより小さな規模でも仮想化が可能なDockerというソフトウエアでの管理も普及してきました。
PCでも重視されるセキュリティ―ですが、顧客等のより多くの個人情報や著作物、あるいは自社のコアな技術情報を管理するサーバーでは、より重い社会的責任を負うため、セキュリティーもさらにコストをかける必要があります。
他にも、より多くの人がアクセスするため回線の容量など、利用目的にもよりますがPCとは違った重点ポイントがあるでしょう。

トラブルのもとはまさに内憂外患

では、トラブルはどこで起こるのでしょうか。レンタルサーバー、データセンターやクラウドサービス、あるいは社内のネットワークの入り口、個人のPC。

どこでも起こるのです。

社員一人一人のパソコンから、個人所有でもWifiに接続していたり、業務に使っているならスマートフォンもあなたの会社のITシステムにトラブルをもたらすかもしれません。もしあなたの会社にネットにつながっているテレビやBDレコーダー、スマートスピーカー、スマート家電などがあったら、これらも例外ではありません。これらのセキュリティ―が社内のネットワーク内にもたらすトラブルはこれからどんどん増えていくでしょう。これらはLinuxなどのOSを積んだ小さなコンピューターなのです。また、NTTなどの回線事業者からレンタルしているルーター、Wifiルーターなどが原因のトラブルも忘れてはいけません。

一方、サーバー側も同じかそれ以上のトラブルの可能性を持っています。一見利用ユーザーがすることがほとんどないように見えるレンタルサーバーや、自社と切り離すことでセキュリティーや自動化をうたうクラウドサービスなども例外ではありません。

このほか、取引先のサービスやシステム、購買やショッピングサイトの情報漏洩、プラットフォームサービスのバグやセキュリティーホール、まさに内憂外患です。

トラブルに備えて最低限知っておくべきこと

個々のトラブルに会い、それに対処する前に最低限知っておくこと。それは”絶対”はないということ。

どんな大手のベンダーでも、高額な予算を使っても、トラブルはやってきます。そんな評判の高いもので、安定性が売りのものでもトラブルのない機器やソフトウエア、サービスはありません。

新しいものにも、古いものにもそれに応じたリスクがあります。

でも、操作や保守、そしてモラルなど、人的なことに由来するトラブルも少なくないことを頭に留めておいて下さい。パニックになって電話がかかってくる、最も多い原因は誤使用や操作ミス、やってはいけないことやってしまった、単純な人的ミスなのです。

いつ来るかわからないシステムのトラブルに注力するより、ビジネスや業務に集中してください。ただし、まず正しい使い方や最低限守らなければいけない注意事項、そしてモラルの徹底。これらはみなさんのITパートナーでもどうすることもできません。まずはここからトラブルを減らしましょう。

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