社内共有サーバーが見えなくなった(ケース1)

SHIGEちゃんさん、今度は怪奇現象です!

まさか、幽霊でも!?

き、き、消えたんです。私のパソコンから社内の共有ファイルサーバーやNAS(ネットワーク対応ハードディスク)が。見えなくなりました。

ふうっ、そっちですか。
でも、それは困りましたね。いつも使っているWindowsパソコンの方ですか。

サブで使っているMacからは見えるんです。急に何です。

どのPCからも見えないのであれば共有サーバーやNAS側の設定を疑うべきですが、今回はきたピーさんのPCを疑った方がよさそうですね。「ネットワーク」を表示してもらえますか?

「ネットワーク」の表示の仕方(Windows10)

  1. Windowsマークをクリックして「スタートメニュー」を表示、「ネットワーク」をクリックします。
  1. 「スタートメニュー」に「ネットワーク」が表示されない場合は、「設定」の「個人用設定」>「スタート」の一番下にあるリンク「スタート メニューに表示するフォルダーを選ぶ」をクリックし、「スタート メニューに表示するフォルダーを選ぶ」画面で「ネットワーク」をONにしてください。
  1. 正常なら、開いた「ネットワーク」のウインドウに、社内ネットワーク上にあるデバイスがすべて表示されているずです。

となりのスタッフのPCだけしか表示されていません。。。

表示タブを選択し、「レイアウト」から「詳細」表示を選んで「詳細」表示にします。

上部の表示項目で右クリックをしてコンテキストメニューを表示、「探索方法」を表示ONにします。
なんと表示されていますか?

「WSD」と表示されています。

WSD(Web Service on Devices)はWindowsからネットワーク上のにある周辺機器にアクセスするための仕様の一つで、WS-Discoveryというプロトコルで探索されます。Windows10では標準のネットワーク機器の探索方法ですが、NASの多くの機種などは対応していないようです。

難しい。。。

きたピーさんのところの共有サーバーのように多くのLinux機器やNASをWindowsネットワークへ参加させるために使われているSambaというソフトウエアでは、「NetBIOS(over TCP/IP)」という プロトコルで探索されることが多いです。ここは厳密にいうといろいろあるのですが、きたピーさんは大雑把に理解してください。

いやあ、これでも理解できないです。

今までは 「ネットワーク」一覧の「探索方法」を表示した場合は 「NetBIOS 」で探索されたNASなどが表示されていたと思われます。LinuxにはWSD対応のwsdd というソフトウエアもありますが、Samba が一般的です。

なぜ消えちゃったんだろう?

おそらくWindows Updateのタイミングで NetBIOS(over TCP/IP) での探索ができなくなってしまったのだと思います。

使えるようにお願いします!共有サーバーはSHIGEちゃんさんもご存じだと思うので、NASのメーカー、型番をお送りします。

SMB1プロトコルという古い形式が脆弱性のため現在はデフォルトで無効化されています。
NASの方はおそらくこれが原因でしょう。

じゃあ、それを有効化すれば元通りに?

「Windowsの機能の有効化または無効化」にある「SMB1.0/CIFS ファイル共有のサポート」という箇所の修正をします。

SMB1.0/CIFS ファイル共有のサポート の修正

  1. 「設定」のメニュー「アプリ(アプリと機能/Windowsマークを右クリックしても表示されます)」を開きます。
  2. 右上にある関連機能「プログラムと機能」のリンクをクリックし、コントロールパネルの「プログラムと機能」を開きます。
    ※スタートメニューの「Windowsのシステムツール」>「コントロールパネル」からも開けます。
  3. 左上(サイドバー)にある「Windows 機能の有効化または無効化」を押して機能の設定ウィンドウを開きます。
  4. 中ほどにある「SMB1.0/CIFS ファイル共有のサポート」を「+」ボタンを押して展開、「SMB 1.0/CIFS クライアント」にチェックを入れます。
  5. たまに「SMB1.0/CIFS ファイル共有のサポート」の全項目をチェックするような記事も見かけますが、SMB1は脆弱性が懸念されるプロトコルなので「SMB 1.0/CIFS サーバー」はオフにしましょう。また「SMB 1.0/CIFS 自動削除」をオンにすると10日間の不使用、または累積不使用日数でも「SMB 1.0/CIFS クライアント」がオフにされてしまうので、ここもチェックしないほうがよいでしょう。
  6. 「SMB 1.0/CIFS クライアント」が追加された場合、再起動を促されるのでPCを再起動して機能を再構成します。

※ SMB1.0/CIFSプロトコルは脆弱性が懸念されており、自社ネットワーク内にどうしても必要な機器がある場合以外はOFFにしてください。

あ、表示されました。

Linuxの共有サーバーはこまめにソフトウエアの更新をされており、おそらくSambaのバージョンからするとSMB2(SMB3.x)で接続されていたので、Windows10自体が NetBIOS(over TCP/IP) という従来の探索を SMB1.0/CIFSが有効化された場合のみ有効としているからだと思われます。

う~ん、ただ、PCを一度シャットダウンしたり再起動するとアクセスできなくなりますね。

ひええ~。他にも。。。

今度は、そちらを直しましょう。
念のためpingを送信して、ネットワーク上で認識されているか確認しましょう。

pingの送り方

  1. コマンドプロンプト、またはWindows PowerShellから「ping」コマンドを通してみます。
    「ping」+半角スペース+機器のIPアドレスまたは表示されるサーバー名を入力、「エンター」キーで実行します。
  2. 表示される「送信」と「受信」の数が一致し、「損失」が”0″(0%)なら正常です。問題がある場合は「損失」が1以上になります。

ネットワーク上にアサインされています。
ただ、SMBの状態を確認するとNASやサーバーは見えませんね。
やはり、探索に問題がある可能性が高いですね。

smbの状態の確認

  1. スタートメニューの中から「Windows PowerShell」を探し、右クリックで「管理者として実行する」。
  2. 「Get-SmbConnection」と打ち込み、エンターキーを押します。
  3. 図のようにリストが表示されれば機器がSMB端末として認識されています。「Dialect」の項の数字がSMBのバージョンです。
  4. pingは通るがリストに表示されない場合はPC側のNetBIOS(over TCP/IP)探索で認識されていない可能性が高いです。

このトラブルも原因や解決法は一つではないのですが、タイミング等の問題で見えないことが繰り返される場合もあるので、念のため設定を修正しましょう。
windowsに「Function Discovery Provider Host」と「Function Discovery Resource Publication」というサービスがありますが、前に出てきた WS-D やSSDPの探索機能や探索された機器の表示に必要なものですが、「Function Discovery Resource Publication」はSMB機器の表示にも関わる場合があります。 「Function Discovery Provider Host」 が起動のトリガーになるので、 「Function Discovery Provider Host」 を自動起動することによって安定して表示されるようになります。

Function Discovery Provider Host の自動起動

  1. Windowsマーク+R(またはWindowsマークを右クリックして「ファイル名を指定して実行」をクリック)で「ファイル名を指定して実行」ウインドウを表示します。
  2. “services.msc”と入力して、「OK」を押してサービス管理画面を表示します。
    ※ スタートメニューから「Windows管理ツール」>「サービス」または「PC」アイコンを表示している場合はアイコンを右クリックして「管理」を選択、「コンピューターの管理」画面のサイドバー下にある「サービスとアプリケーション」>「サービス」でも表示できます。
  3. サービス一覧から「Function Discovery Provider Host」を選択、ダブルクリックしてプロパティーウインドウを開きます。
  4. 「全般」タブを選択、中ほどにある「スタートアップの種類」で「自動」を選択し、「OK」を押します。
    ※ すぐ下にある「サービスの状態」が「実行中」以外の場合は「開始」または「再開」を押してください。
  5. サービス管理画面を閉じます。

おお、表示されてます。
ああ、両方ともアクセスできました。

きたピーさんのケースではOKでしたが、(ローカル)ネットワーク機器のトラブルは本当に多くの原因やケースがあります。根気強く探っていく必要があるんです。

Windowsの仕様と周辺機器の仕様がうまく合っていないんですね。

そうなんです。
先ほども言いましたが、2021年夏現在、Linux OSを積んだ国内メーカーのNASでwsddを実装したものはほとんどないですし、安価なものはSMBのバージョンも最新の3.1.1(2021.7現在)は少なく、SMB2のものも多いです。

そんなにすぐに買い替えるものじゃないですしね。

容量も大きくなっているので、データの移行も大変です。
一方でSMB1のセキュリティ―は問題があるし、NetBIOS(over TCP/IP)もセキュリティーや速度の問題があるので、悩ましい問題です。